向田邦子という作家のファンになったのは、向田さんが亡くなられてからずいぶん経ってからのことでした。
向田邦子さんのエッセイや小説、脚本を読みふけるうちに、どんどんその世界に引き込まれていきました。
向田邦子 その人となりのかっこよさ、生き様の潔さ、切符の良さ、どれもなにひとつ自分には持ち合わせていないステキさに、だんだん憧れを抱くようになりました。
周囲の方たちから慕われ、尊敬され、愛され、なんてすてきな方だったんだろう、と思います。
亡くなられた今もなお、その人気は不動です。
毎年、命日には思い出され、懐かしまれ、愛おしまれ、今、向田さんが生きていたら、と思いを馳せる人々も多く、私もその一人です。
その時期には、向田邦子さんを偲び、向田特集といった企画が組み込まれ、夢中になって読んでしまうものです。
時々、無性に向田作品に触れたくなるのはなぜなのか。
令和、平成と時代は流れど、昭和というものを思い起こすには向田作品を外すことができないからでしょうか?
向田邦子ファンのひとりとして、おいしいものが大好きという共通点を唯一見出しましたが、その先には及ばず。
向田さんのお料理上手は圧巻。
私は食べることが好きなだけで作ることはとんと苦手。
物書きの才能は、食すること、料理を作れること、創意工夫ができることにもあるんだ、ということを向田邦子さんから学びました。
そんな向田邦子さんを演じた女優さんのことを書きます。
もう一度見たいドラマ3本でもあります。
向田邦子の恋文出演の山口智子さん
トットテレビ出演のミムラさん
トットちゃん!出演の山田真歩さん
向田邦子の恋文 山口智子演じた「恋」は邦子さんそのもののようだった
向田邦子の恋文・・・2004年に東京放送系列でテレビ50年特別ドラマで放送されたドラマです。
向田邦子を演じたのは女優の山口智子さん。
小説『 向田邦子の恋 』が出版された時には衝撃的でしたが、やはりそうだったのか、と向田さんが不倫の恋をしていたのではないか、ということ向田作品を読んでいると自然と感じるものがありました。
少なくとも大人の恋をしていたことは伝わっていました。
山口智子さん扮する向田邦子さんの表情、しぐさに何度もドキッとしました。
ラブシーンはいっさいないのに、セリフの間やしぐさ、画面からドドーンと伝わってきたのも不思議でした。
似ている! 山口智子さんが醸し出す雰囲気は、向田邦子さんのようでした。
といっても、私自身、向田邦子さんが徹子の部屋に出演されている過去の映像や、雑誌の写真、向田邦子さんを特集した出版本の向田さんしか知らないので、偉そうなことは言えないのですが、後半は山口智子さんが向田邦子さんに見えていました。
向田邦子さんを演じた山口智子さんの素足。
それが、向田邦子さんを表していたような記憶があります。
ドラマで素足だったのかどうかは、今は思い出せないのですが。
恋文に秘められた切ない恋心が、山口智子さんを通して痛いほど伝わってきて、泣けてきました。
その切ない恋心や実らぬ恋の哀しさは、向田さんの作品に人情の機微を吹き込み作品に命を与えたのだと。
周囲の方は、向田さんの恋人の存在に気づいておられたんだと思います。
でも、大人ゆえ、そっと見守っていたのだろうな。
向田さんの美しさを写真に込めた、彼の愛情に泣けてきます。
彼の死を、受け止める苦しみがまた作品に生きて、染みわたっていったのかもしれません。
そんな、向田邦子の恋を見事に演じきった山口智子という女優は、素晴らしいと感じました。
原作は妹の向田和子さん
脚本は大石静さん
演出は久世光彦さん。
もう一度見てみたいドラマの一つです。
トットてれびのミムラさん 美しさと気品、これまたとても向田邦子
トットテレビ・・・ミムラさんが、これまた、とても向田邦子さんでした。
その美しさと気品にうっとりしてしまいました。
NHK総合テレビの土曜ドラマで、2016年に放送されました。
トットちゃんこと黒柳徹子さんを演じたのは満島ひかりさん。
この中で登場する向田邦子さんを演じたのがミムラさんでした。
ミムラさん扮する向田邦子が、ちょっと微笑むその表情やしぐさは、まさに雑誌の特集で見る向田さんの微笑と似ていて、トットテレビの向田邦子の巻は、録画でも再放送でも何度か見ました。
向田邦子ファッションがとても似合っていることにも、驚きました。
私もいつか、向田邦子さんみたいになりたいな、とファッションやヘアスタイルをまねしたことがありますが、とてもじゃないけれど近づけませんでした。
黒はシックで上品。帽子もオシャレでステキ。
黒柳徹子さんがこんなにも向田さんのことを慕っていたんだ、お二人はとても仲良しだったのだ、と改めて驚きました。
そして、向田さんも自分とは対称的(?)な黒柳さんに惹かれていたのだということも。
今もなお、皆に慕われている向田邦子さんの特集が、掲載されている雑誌や本に飛びついてしまう私です。
原作は黒柳徹子さん 脚本は中園ミホさんです。
トットちゃん! ドラマの中で徹子さんをあたたかく見守る姿が向田邦子だった
トットちゃん!
その名もトットちゃんは黒柳徹子さんです。演じたのは清野菜名さん。
交流深かった向田邦子さんを演じたのが山田真歩さんでした。
このドラマは実名の人物が沢山登場することでも話題になっていました。
森繁久彌さんを演じたのが近藤真彦さん、沢村貞子に扮した浅野ゆう子さんの演技も見逃せません。
向田邦子を演じた山田真歩さんのスカーフを頭に巻いたコスチュームのちょっとツンとした雰囲気が、これまた向田さんなのでした。
セリフはもちろん、声、細やかな仕草が、激似。山田真歩という役者名、全く知らなかったけれど。
昼ドラ、がいつの間にやら昼というキーワード抜きの 帯ドラマ劇場と命名され、見たいドラマがあるときは、録画してみるようになりました。
トットちゃん!は、夜に放送してほしい! と思えるドラマでした。
福山雅治さんの主題歌 トモエ学園にも、どれほど涙したことでしょう。
で、ドラマに登場した向田邦子さん。
お、この女優は誰!? と思わず、ドキッとしました。
山田真歩さんという女優さんでした。
ドラマの中で、徹子さんをあたたかく見守るまなざしが向田邦子さんでした。
お姉さんのようであり、心許しあえる友達でした。
徹子さんに、人生を説くその語り方の大人なこと。こんなふうに人生の機微を指し示してくれる大人の人に出会えることは、幸せなことです。
人生はイイことばかりが続くわけではなく、いい時もあれば、そうでない時もあるというような内容だったと思いますが、人生の酸いも甘いも知り尽くしたひとの言葉を見事に言ってのけてくれていました。
これら、3本のドラマの中で演じられた向田邦子さんはとても魅力的。
どの女優さんも個性的で、とても向田邦子さんでした。
これからも、向田邦子人気は冷めることがないと信じます。
今も、なお読み継がれる向田作品。
毎年、向田邦子さんを偲んで、雑誌やテレビで特集が組まれるのを見るにつけ、人気の深さを感じずにはいられません。
このブログでも、向田邦子さんのことは折れ、取り上げていきたいと思っています。
向田邦子ドラマについても思い出す限り、覚えている限り取り上げたいと思っています。
向田邦子ファンのひとりとして。
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