大好きなエッセイストは? 大好きな脚本家は? と聞かれて、向田邦子さんと答える方は多いでしょう。
脚本、小説、エッセイ、どれを読んでも心に響きますね。家族を描いた作品、男女の機微を描いた作品どれも心に刺さるものがあります。
テレビドラマも向田邦子脚本のものは人気がありました。
向田邦子さんがこの世からいなくなったあとも数年、新春ドラマとして向田邦子作品は放送されていました。
ドラマを見るたび、作品を読むたび、なぜあの飛行機事故でこの世を去ってしまったの? という寂寥感を感じながらも、向田作品に魅了されておりました。
いつまでも色あせない向田邦子の世界。短い文章で、描かれているけれどそこには「愛」がいっぱい。
向田邦子さんのエッセイおすすめ3作品をご紹介します。読むほどに心に響くエッセイです。向田邦子作品をまだ一度も読んだことがな人に、真っ先に読んでほしいエッセイです。
向田邦子さんのエッセイを読んだことがある方にも、再びこれらの3作品を再読していただけたら、と思います。
向田邦子エッセイおすすめ3作品
ゆでたまご
ゆでたまごというエッセイは「男どき女どき」に収められています。
愛、というものについて想う向田さんの考えが書かれています。
愛。目には見えないけれど愛が見えてくるような気がしてきます。何度読んでも目頭が熱くなります。泣けてきます。人情というものが、自分にもあるのだ、と刺激されます。
あまりに感動したので、手書きで原稿用紙に真似をして書いてみたことがあります。400字詰めの原稿用紙2枚に収まる中に、愛が詰まっていました。
向田邦子作品が愛される理由がわかる気がしました。
こんなふうに愛をとらえ、感じ生きていけたら人生はおおいに輝くのではないだろうか、とさえ思わせてくれます。
向田邦子作品をまだ一度も読んだことがない人に読んでほしい一編の作品です。
字のない葉書
字のない葉書はあまりに有名な向田邦子作品です。この作品は「眠る盃」に収められています。
父が娘を思う気持ちがあふれんばかりに伝わる作品に涙する人も多いことでしょう。
文字数は少ない。なのにこれだけ胸を打つのはいったいなんなんだろう。
人情の機微に触れる作品というのは、こういうものなのかもしれません。
妹の和子さんは向田作品に数多く登場します。その妹さんを愛する家族の気持ちが伝わっってきます。
父の詫び状
父の詫び状は、その名も同じ「父の詫び状」に掲載されています。
文字とおり向田邦子さんとお父さんの事が書かれています。
妹の和子さん同様、お父様のことは度々向田作品に登場します。
父との関わりは、向田さんの人生に大きく影響しています。
後に書かれた寺内貫太郎一家の寺内貫太郎のモデルもこのお父様なのだから。
父の詫び状で向田さんの父への愛を、感じます。一気に押し寄せるうねりのようにあふれる愛が伝わるのは向田さんの筆力にあるようです。
あとがきに、書かれた沢木耕太郎さんの言葉からも伝わります。
最後の数行とエッセイの題名が共鳴しあい、勝手な方向をむいていた挿話が一つの方向に向き直るのを感じるから、と沢木さんは言います。
ははーん、そういうことだったのか。
何度も向田邦子作品を読むと、昔読んだときとはまた違った感想を抱くことがあり、それがまたとても新鮮なんです。
向田邦子作品を読んでほしい理由
向田邦子作品を愛する人はとても多いです。
一度読んだ作品を何度も何度も読む人も多いとか。私もその一人です。
人生のいろんな波に乗りながら、喜んだり悲しんだり、辛かったり、この上なく幸せだったり・・・。人を愛したり、憎んだり、好きになったり、嫌いになったり・・・。
生きることはとても素晴らしいことであり、時にめんどくさくなることもあったり。そんなときに向田邦子作品を知っているのと知らないとでは、これまた人生が違ってきます。
原稿用紙にしたら2~3枚、文字数で言えば800字~1200字の中に、愛が詰まっているからです。人情の機微がきざまれているからです。
昭和、平成、令和へと時代はうつれども、いまだ変わらぬ向田邦子さんの人気。
かっこよさと潔さ、思いやりが作品ににじみ出ているところも人気の秘密か。
エッセイ、小説、脚本ともに今も読みつがれています。
そんな向田邦子さんの作品の中でのベストエッセイをご紹介しました。
まだ一度も向田邦子作品を読まれていない方におすすめのエッセイ3作品です。
どの作品からでもいい、向田邦子作品を読んでみてほしい、
という願いを込めて書きました。
まだ一度も向田邦子作品を読んだことがない人に、ぜひ、一度でもいいからどの作品でもいいから目を通してみてほしい、読んだことがある方も何度も読み返してほしい、というのが向田邦子ファンの一人としての気持ちです。
字のない葉書に書かれている妹・向田和子さん編集の、ベストエッセイも出版されています。
残念なことに「ゆでたまご」は選ばれていませんが。
この記事にピンとくるものを感じたら、ぜひ向田邦子作品を読んでみてください。
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