かつて東京の赤坂にあった向田邦子さんのお店「ままや」。
妹の和子さんがお店を任され、きりもりされていました。
「向田邦子の手料理」に掲載のお料理がいただけるということで、とても人気のお店でした。
私がままやに行ったのは、向田邦子さんが亡くなられてからのことでしたが、それでもお店は満員。
とても賑わっていました。
スーツ姿の紳士も多くいらして、仕事帰りの一杯を楽しんでおられるようでした。テレビ局の方もいらしたかもしれません。向田さんとテレビ局の方も会食されたんだろうな、と妄想は広がるばかり。
そんなことを思いながら「ままや」に来れたことをかみしめながら、友達と楽しい飲み時間を楽しんだのでした。
「あぁ、憧れのままやに来ている~」と、かなりテンションが上がり舞い上がってしまっていたことも懐かしい思い出です。
向田邦子さん亡き後も、私と同じように、遠くからこのお店を訪ねてきた方が、日々たくさん来ていたことでしょう。
その時いただいたマッチです。大切に保管しているはずが、やはり古びてきました。
「ままや」は1978年(昭和53年)~1998年(平成10年)まで東京・赤坂に
私が向田邦子さんのファンになったのは、向田さんが亡くなられてからのことでした。
テレビドラマだったのか小説だったのか、ファンになってからというもの、シナリオも小説もほとんど読みました。
今も何度も読んでいる作品もあります。
忘れていたり、新しい発見があったり、いつ読んでも何度読んでも新鮮なのが不思議です。
大人の女というのは、こういうものなのか、と憧れることしばしば。
実際の自分は、とうていかけ離れた大阪のおばちゃんにすぎませんが。
ずいぶん前に『 徹子の部屋 』で、向田さんがお話しされているところを映像で見たことがあります。
美しい! そしてちょっぴり男前。
このカッコよさはどこからくるのかな?
この人が、「寺内貫太郎一家」や「時間ですよ」を書いた人なんだ~と、思いながら見ていました。
お料理が上手だったこと、美味しいものには目がなかったことなどが、エッセイや向田邦子特集の企画本などからわかりました。
「う」の引き出しには、そのパッケージやラベルなどが残されておりました。
グルメ向田さんは、おいしいものを探し出す名人だったとか。
お味の太鼓判を押したものは、親しい方に贈ることも大好きだったそうです。
贈り物の名人でもあったわけです。と同時にいただきものを上手にねだる方であったとも書かれています。
向田さんが選んだグルメでおいしそうだな、と思ったのは、青山・菊谷の水ようかん。
京都、瓢亭の梅甘煮もなんだか、とっても高級でおいしそうでした。
どのお料理もおいしかった~。お酒もおいしくいただきました。
向田邦子さんのお店「ままや」に行きたい!と一緒に東京に行こうと計画した友達に伝えました。
そんなに行きたいのなら、と付き合ってくれることになりました。
妹・向田和子さんに、たくしたお店『 ままや 』。
そこでの定番お薦めメニューとして愛されたのが、レシピも紹介されたものでした。
さつまいものレモン煮。トマトの青じそ和風サラダ。焼きおにぎり、人参のピリ煮。鮎の風干しについてるミョウガがとても美味しそうだったことを覚えています。
「これ、食べたい。そうだ、食べに行こう」 ってことで、友達と憧れの「ままや」に。
妹の和子さんが、レジでお勘定をしておられました。
その時に、大阪から来たこと、向田邦子さんのファンであることを告げました。
静かにほほ笑んでく出さった表情は、とても優しげでした。今もハッキリ覚えています。
きっと私のような向田邦子ファンの人、山のようにいたことでしょう。
マッチのデザイン、レタリングのことは「ままや」繁盛期に
帰り際に、レジのそばに置かれていた「ままや」のマッチをいただきました。
たくさん欲しかったのですが、お友達のお土産にしたいから、と自分の分とひとつの2つをいただいちゃいました。
今もそのうちのひとつのマッチを大切に持っています。
「ままや」のレタリングとマッチのデザインを決め、瀬戸へ食器の買い付けに行った、ということが『女の人差し指』の「ままや」繁盛期に書かれています。
ままやというもじの書体と色合いなどのデザインがなんともおしゃれで素敵。
あたたかくてずっと見ていたい文字です。手書きっていいな。
だんだん古くなってしまっていますが、これからも大切にしたい、宝物です。
ままやは閉じられましたが、今もきっといろんな人の思い出のお店になっていることと思います。
「そんなお店を開いてくれてありがとうございます」と、向田邦子さんと向田和子さんにお礼を言いたいです。
『 向田邦子ふたたび 』に向田さんのエッセイや愛した食器などが掲載されています。
追悼文の吉行淳之介さんの「向田邦子にごちそうになった経緯」や山口瞳さんの「向田邦子は戦友だった」は、読むたびジーンと目頭が熱くなります。
向田邦子さんの小説、エッセイ、脚本はこれからもずっと読み続けていきたいと思います。
そして、ドラマも。手料理も真似したいと思います。
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